Story 1 アールグレイ紅茶 / ルフナ紅茶との出会い

2010年の9月のこと。パルシックは2004年からスリランカの北部で津波や内戦で被災した漁村の復興支援をしていました。2009年に内戦は終結していたものの北部での活動に対する許可や移動はままならないことが多く、この時も北部ジャフナを訪れるとともに、コロンボで政府との交渉などのために出張しました。1年前から南部デニヤヤでクジャク椰子の樹液からできるキトゥル蜜の伝統的な生産を支援していたので、デニヤヤを訪れると農家のおじさんたちがお寺に集まってきました。南部では村のお寺がコミュニティセンターのような役割を果たしています。当時は、キトゥル蜜の生産量を増やして農家の収入向上につなげようと考えていました。スリランカ全体で伝統的なキトゥル蜜の生産が減っていることを残念に思っていたからです。

しかし、どの農家にもクジャク椰子の木は1-2本しかなく、じつは紅茶の栽培が本業でした。この辺りはかつての王国の名であるルフナ地方と呼ばれ、1,400メートルくらいの低地帯で生産される茶葉は、ルフナ茶と呼ばれ、トルコやアラブ諸国に主に輸出されています。デニヤヤには、紅茶で有名な中部高地帯のウバやヌワラエリヤなどと異なり、大規模プランテーションはなく、小規模な自営農家が茶葉の木を栽培しています。茶摘みをするのも農家の娘さんや奥さんたちです。ある時、農家さんから「化学肥料や農薬を散布していると娘たちの手が荒れてくるから、有機栽培に転換したい。やり方が分からないので教えてほしい」と相談がありました。

帰国時に農家さんから茶葉を預かって日本に帰ってから試飲してみました。紅茶特有の渋みが少なく、甘みのある、美味しい紅茶でした。ルフナ独特の草のような香りが好きな人もいますが、そうでない人には着香してアールグレイにしてもこの味を生かせると考えました。それから有機のベルガモットオイルを探して、適切な混合率を考えて味を決めるまで、多くの方にご協力をいただいて、アールグレイ紅茶が出来上がりました。