特定非営利活動法人パルシックは、地球の各地で暮らす人と人が、国家の壁を越えて助けあい、支えあい、人間的で対等な関係を築くことを目指して活動するNGOです。国際協力とフェアトレードを主な活動内容としています――ただし、国と国の協力である国際協力ではなく、市民と市民との協力と言う意味で民際協力と呼んでいます。とくに外国の占領や侵略あるいは紛争の下で、近年増えている自然災害によって、自立的な発展を阻まれた人びとが暮らしを取り戻すことに協力する活動を重視します。
パルシックは、対等な交易を通じて、人と人のつながりと信頼を広げていくことこそが紛争の抑制、平和の形成に寄与すると考えています。
パルシックの民際協力事業
パルシックは、アジアで「人と人が助け合い、支えあう、人間的で対等な関係を築く」ことをミッションとして、困っている人がいたら同じ時代にともに生きる人間として、相互に支え合う、民際協力事業を行っています。
パルシックの前身であるアジア太平洋資料センター(PARC)の時代から活動している東ティモールとスリランカにおける民際協力事業に加えて、2010年にはマレーシアで漁民による海洋資源保全活動支援を開始しました。この活動はパルシックの活動としては異色で、環境教育のための現場でもあります。2011年には東日本大震災に遭遇して宮城県石巻市北上町の復興支援に関わり、東北の被災者の方々から多くを学ばせていただきました。2014年夏、パレスチナのガザ地区に対するイスラエルの攻撃によって、多くの子どもたちまでが命を落としている現状に突き動かされて、パレスチナ・ガザ地区の支援を開始しました。そして2015年10月にはトルコをベースとしてシリア難民の支援事業を開始しました。パルシックは各地の現場で相手の文化や社会、価値観から学びつつ試行錯誤しています。
パルシックが目指す世界
背景
私たちの生きている21世紀の世界は、さまざまな矛盾に満ちています。前世紀以来の工業化や近代化の結果、経済的な格差の拡大、天然資源をめぐる利権と乱獲、環境破壊が深刻化して、局地的な戦争の多発、民族抗争の激化などを引き起こしています。それに加えて、自然災害などの被害も大規模化しています。
理念
パルシックが目指す民際協力は、地球上の各地で暮らす人びとが国民国家の壁を乗り越えて、直接的に助け合う世界です。同じ時代に共に生きる人間として、相互に支え合う道を拓きます。いうまでもなく、主権国家相互の国際関係、その連合組織としての国際機関などを無視することはできませんが、直接的かつ自然的な関係であると同時に人間的で対等な関係作りに参画します。
眼前の世界の現実は、異なった地域に暮らす人びとが、自ら当事者として取り組み、共同作業することを求めています。違った体験を持つ多様な人びとが、多角的な視点から、多重に多元的に協力してこそ、新しい主体を形成できます。老若男女の地域住民が社会の主人公として、自分たちの生き方を決め、豊かな暮らしを築く世界を目指します。
フェアトレードの取り組み
パルシックの活動は、直接的な交流、交易を重視します。商品の生産、流通、消費などが、市場の価格だけを判断基準にするのではなく、人間的な交流と信用に基づくことを大切にします。交換を通じて、商品だけでなく双方に欠けているものを互いに補います。そして、できるだけ多くの交信手段を使って相互理解を深めます。交易も「すべての当事者が対等な立場から適正な利益を得る」フェアトレードに力を入れています。