アールグレイ、ルフナ紅茶の生産者の様子
2022/07/15産地からの情報
いつもパルマルシェをご利用いただきありがとうございます。
ご好評いただいている「アールグレイ紅茶」「ルフナ紅茶」「ウバ紅茶」の産地スリランカは、経済危機に直面し、経済危機を引き起こした政治、経済システムを変えようとする民衆の動きが活発化しています。スリランカの現在の状況については、先日開催したオンライン・イベントの報告をご覧ください。
紅茶産業も大きく影響を受けています。今回の経済危機に先立ち、2021年に発布された化学肥料の輸入禁止令によって、スリランカ中の茶園や小規模農家の生茶葉の生産量は激減していました。紅茶工場は生茶葉の供給が激減していることに加え、燃料不足のため、2022年7月に入ってスリランカ紅茶工場オーナー協会が、週4日に工場の稼働日を減らすと発表しました(通常は週6日、もしくは7日稼働している)。紅茶工場では、生茶葉を茶農家から回収するための車両、工場内での機械を動かすための電気、加工した紅茶をコロンボに出荷するための車両など、燃料が大量に必要だからです。スリランカにおいて紅茶産業は外貨を稼ぐ大事な産業の一つですので、政府は紅茶産業に対して燃料の特別供給も行いましたが、通常通りの稼働に必要な量は提供できていません。
一方で、パルシックの「アールグレイ紅茶」「ルフナ紅茶」を生産しているデニヤヤの小規模有機紅茶農家グループ「エクサ」のメンバーは、もともと有機栽培をしており、化学肥料を使っていないため生産量に影響はありません。ただし、生茶葉を出荷する車両のガソリン確保が困難になっています。パルシック・デニヤヤ事務所のスタッフが夜中までガソリンスタンドで並んでようやく確保したり、ある程度の量をストックしている紅茶工場から譲ってもらったりと何とか定期的に出荷できている状態です。7月からは「エクサ」のメンバーと相談して、茶摘みのタイミングを揃えることで、生茶葉の回収、出荷頻度を減らすことにしています。また、パルシックのフィールドスタッフは、毎日メンバーの圃場を視察しアドバイスなどを行っています。普段は視察の際にバスやスリーウィラー(トゥクトゥクと同じ小型の三輪車両)などを利用していましたが、6月初めころから燃料不足のためこれらを利用できなくなり、山道を徒歩で歩き回っています。
「エクサ」が生茶葉を出荷しているニルミニ有機紅茶工場は、もともと化学肥料を使っていない有機栽培の茶葉だけを加工していますので、生茶葉不足の影響は受けていません。ニルミニでは工場で使用する電気は、シンハラージャ森林から流れる豊かな水を活用した茶園内の水力発電などで補っています。ただし、車両用の燃料や紅茶の加工工程に使うドライヤー用の薪の確保が心配になってきています。
今スリランカが直面している問題は、自分たちが変えていくことで解決しないといけない問題だ、とスリランカの人びとは言っています。政治、経済の仕組みを立て直すために、私たち個人が日本からできることは限られていますが、デニヤヤのスタッフやエクサのメンバーからは、日本の皆さんに「紅茶やスパイスを買い続けてくれることが、一番確実で必要な応援だ」と伝えてほしいと託されました。
ぜひこれからも、継続してスリランカのフェアトレード商品をご購入いただけたら幸いです。
またパルシックのWebサイトでは、スリランカへのご寄付を受け付けております。
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