東ティモールでの有機監査 コーヒーとハーブの圃場を訪問

あかい

7月に、有機監査が東ティモールの事業地で実施されました。年に一度、有機JASに適合した生産が行われていることを、第三者機関の検査員が現地事業所や圃場に訪れ検査します。過去3年はコロナウイルスの影響によりオンラインによる監査だったので、4年ぶりの実施検査でした。コロナ禍に入職した私も監査に立ちあうため、初めて東ティモールを訪れました。

検査は、きちんと有機JASの基準に基づいた生産や記録がなされているかを、実際に有機監査員がひとつひとつ確認するというものです。今回はまず事務所や倉庫で輸出入、工程管理、清掃の記録、生産者への聞き取り調査の記録などなど、様々な書類を確認しました。次に倉庫や加工場で書類の通りに適切な管理がされているかを確認した後、コーヒーの生産者とハーブの生産者の圃場へ実際に足を運び、苗床や堆肥の使用有無や方法などを確認し、最後に総括するという流れでした。

標高1,000m乾季のマウベシは、なんと雨

首都のディリは海沿いにあり、そこから車で数十分行くとどんどん標高が上がり、景色が変わってきます。2021年4月の洪水で崩れた箇所も見られましたが道路は舗装され、1時間半程度でコカマウ組合のあるマウベシに到着。「マウベシ郡に入った」と教えてもらったとたん、さっきまで晴天で暑かったのに、白い霧が立ち込めてきて涼しくなり驚きました。乾季に当たる時期で例年は雨があまり降らないのですが、なんと滞在した3日間はほとんど雨でした。

コーヒーの圃場 マウンレテ集落 若者もあつまる

昨日からの雨で3m先が見えないくらいの霧が立ち込め、赤土がぬかるんでタイヤがはまりつつもマウベシ中心部から車で40分程でマウンレテ集落に到着。集落の方が集まって伝統的な布のタイスを首にかけて歓迎して下さり、蒸かしたお芋、唐辛子とトマトとネギのアイマナスという料理をいただきました。客人が食べている間は食べないというマナーがあるようで、コカマウ組合のみなさんに見守られながら、お話をしながら美味しくいただきました。

近くの圃場では、堆肥場、綺麗に整備された圃場、古い木を台切りして新たに芽吹いた木、などを確認。検査の場には、多くの若者も同行してくれ、気が付いたら総勢20名ほどの行列になっていました。

コーヒーの圃場 レボテロ集落 コーヒーの花がいっせいに咲かない

レボテロ集落はマウベシ中心部から車で20分程にあり、長くコカマウ組合に属するミグエルさんのお宅に伺いました。こちらの圃場でも、堆肥場や台切りした木々などを確認し、コーヒーをいただきながら様々な話を伺いました。

「今年は特に乾季に雨が降り続き、収穫して加工したパーチメントを基準値まで乾かすことが出来ない。昔はコーヒーの白い花がいっせいに咲き実がつき、実が赤くなり収穫していたのだけれど、今年はコーヒーの実を収穫した後に隣の木から花が咲くなどしており、経験があてにならなくなっている」。

「これまでも様々な困難に直面してきたが、都度乗り越えてきた組合の良さを若い農家に伝えていきたい」。

ハーブの圃場 ハトゥカデ集落 向こうの山に見えるのが私のおうち

マウベシ中心部から車で一時間程度、迎えてくれたお宅でお芋やバナナなどの食事をもてなしていただきました。そこから30分、山の稜線を歩いて下りジョアニーナさんのお宅を経由してさらに40分、滑り落ちてしまいそうなほどの斜面の道を進んで、ジョアナさんお宅に訪問しました。それぞれお宅の前に植わるアボカドや月桃、山の斜面にあるハイビスカスの畑などを確認しました。なんとか辿り着いたジョアナさんのお宅の向かいの山に伝統的な家屋があり、一緒に同行していた女性が「あれが私の自宅」と教えてくれました。そこまでさらに2時間かかるとのこと。行きは緩やかな道を、帰りは普段使われている近道を通ったのですが、かなり落差のある道で膝が笑いだしそうになりました。

 

夫を亡くした方がハーブティーづくりに参加していたり、女性同士が、また周辺の家庭同士が助け合って暮らし、子育てしたりしている様子が伺えました。

今回、書類、生産、圃場を確認し紐づけていく一連の有機監査の行程に同行したことで、手元にある商品から生産者の圃場や顔までが一本の道で繋がっていることを改めて実感しました。コカマウ組合の事務局長や組合員、女性グループのメンバーたち、ディリ・二次加工場・マウベシのスタッフ、ディリのカフェ アロマ・ティモールのスタッフ、出会った人びとの生き生きとした顔、現在の東ティモールの様子をこれからも伝えていきたいと思います。

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