フェアトレード月間に考える~きっかけにするということ

ねもと

フェアトレード月間、最後のコラム担当となりました。ねもとです。
とはいえ、フェアトレードの仕事に関わるようになってまだ1年未満、フェアトレードについて立派な意見を述べられるわけでもないので、等身大で考えていきたいと思います。

ある日、スーパーに寄ったら、とても安いフィリピン産バナナが売られていました。
ちょうど家の果物を切らしていたし、安ければ家計にも優しい。あるいは、その浮いたお金でおやつのチョコレートが買えるかもしれない。
でもふと、そのバナナをかごに入れようとしているときに頭をよぎるのです。
「じゃあ生産者にはいくら支払われているの?」

「安い」というのはたいへん魅力的な言葉で、自分の行ったことない国ややったことのない仕事に思いをはせるのは難しいかもしれません。でも、自分ががんばったことに対する報酬が雀の涙程度のもので、おやつのチョコレートを買う余裕すらなかったら、と考えると悲しくなりませんか?
と、いうのは極端な例ですが、そもそもフェアトレードというもののはじまりはどこからか。
要は「公正な取引」のことなのですから、ピンポイントで〇〇年の〇月〇日、地球が〇回回ったとき! などと言うことはできないのですが、一般的には1940年代後半にプエルトリコの女性たちがつくった手工芸品を、アメリカのNGOが購入したことからはじまったと言われています。
ただ、そのときはチャリティーに近いものだったようで、買い取ったものをバザーで販売していたそうですが、商品目当てよりも趣旨を応援したい人たちが買うという側面から長続きしませんでした。

つまり、慈善事業としての貿易では持続可能性がない、と言えるのではないでしょうか。
真に「フェア」な「トレード」というのは、我々にどの産地から買うのかという選択肢があると同時に、産地側にも、どこに売るのかという選択肢がある、対等な関係での貿易のことだと思います。そのためには、みんなに買いたいと思ってもらえるような良いものを作り、持続可能な取り組みをおこなっていく必要があります。
パルシックは今も昔もその考えを念頭に置いて活動しています。

日本には1年を通して〇〇の日、〇〇月間などが多くあり(それこそ毎日何かの日ですね。投稿日の今日は世界禁煙デーだそうです)、それらは改めて意識をする機会を与えてくれます。ですが、その日、その月だけ考えればよいということではありません。
そうしたことをきっかけに、継続して考えていく問題や課題であるということを忘れないようにしていきたいと思います。

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