フェアトレードをもっと詳しく知りたい方のために、フェアトレードの基礎情報をまとめました。
目次
フェアトレードの歴史
フェアトレードはどこでどのように始まり、世の中に普及していったのでしょうか。世界と日本におけるフェアトレードの歴史をご紹介します。
世界のフェアトレードの始まり
初期のフェアトレード商品は手工芸品が中心でしたが、1973年にオランダのフェアトレード団体がグアテマラの協同組合からコーヒーを輸入し、その後、紅茶、ココア、砂糖、ワイン、果物、ジュースなどの食品へと商品の幅が広がっていきました。このことは同時に、従来のフェアトレードショップから、市場をスーパーなどへと広げることになりました。ここから、フェアトレード商品の認証という考え方も出てきました。
1946年 | 米国のキリスト教系のグループ(のちにSELFHELP: Crafts of the World、現在はTen Thousand Villages)が、プエルトリコの女性たちがつくった手芸品を購入したのが初めと言われている。1940年代後半には、南の国々の手工芸品を購入し続け、1958年、最初のフェアトレードショップ(ワールドショップ)をオープン |
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1950年代 | ヨーロッパでも、英国のOXFAMが中国の難民がつくった手工芸品をオクスファムショップで売り始める。1964年にフェアトレード団体Oxfam Tradingを設立 |
1967年 | オランダでもフェアトレード輸入が開始される。1969年にオランダでヨーロッパ初のフェアトレードショップがオープン。その後オランダでは、1988年に、世界で初めてのフェアトレード認証ラベル、Max Havelaarが開始される |
世界のフェアトレードのネットワーク化
全世界に広がるフェアトレード団体のネットワークは、市民向けのキャンペーンやアドボカシー活動にも取り組んでいます。
1987年 | 欧州フェアトレード協会(EFTA:European Fair Trade Association)設立。メンバーは11のフェアトレード輸入業者 |
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1989年 | 国際フェアトレード連盟(IFAT:International Fair Trade Association)」設立。世界65カ国293団体が加盟、2/3は途上国の団体 |
1994年 | 欧州ワールドショップネットワーク(NEWS!:Network of European Worldshops)」設立。構成メンバーは13カ国にある15のワールドショップ協会。所属のワールドショップの数は2,500 |
1997年 | 国際フェアトレード・ラベル機構(FLO)設立。当初FLOの正式メンバーは先進20カ国のフェアトレード・ラベル団体に限られていたが、2007年には、機構改革によってアジア、アフリカ、中南米の生産者ネットワーク組織各1団体も正式メンバーに加わった |
1998年 | EFTA、IFAT、NEWS!、FLOの4つの連合体は、それぞれの頭文字を取った「FINE」という非公式のネットワーク組織を形成。アドボカシー(政策提言)活動の強化を目的としたものである |
2001年 | FINEのもとで、フェアトレードの共通定義が採択される |
2000年 | イギリスのガースタングが世界初のフェアトレードタウンに認証される |
2009年 | IFATがWorld Fairtrade Organizationへと転換。2018年現在、70ヵ国370団体が加盟している |
2017年12月 | 台湾が中国語圏ではじめてフェアトレードタウンに認定される。2018年現在、30以上の国の2,020の都市がフェアトレードタウンとして認証されている |
日本におけるフェアトレードの推移
1986年 | 第3世界ショップが日本で最初にフェアトレード事業を始める。当初はヨーロッパのフェアトレード商品を輸入することから |
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1989年 | オルタトレードジャパン設立 |
1991年 | グローバルヴィレッジ、環境保護と国際協力の民間団体として結成。1995年1月にフェアトレードの輸入販売の事業部門を独立させ、「フェアトレードカンパニー株式会社」を設立 |
1992年 | ネパリ・バザーロ(ネパリ・バザーロと市民団体ベルダレルネーヨ)活動開始 |
1993年 | 4月に日本最初のラベル商品が発売される。11月にトランスフェアジャパン発足。2004年2月、法人化にともない、名称をフェアトレード・ラベル・ジャパンに。 |
1995年 | 草の根の市民団体・NGOや有志が力や知恵を出しあい、フェアトレードショップ「ぐらするーつ」が設立される |
1997年 | 10月、ジェトロ池袋展示場にて、フェアトレードをもっと多くの方々に知ってもらうための「草の根貿易商談会」が開催される(共催:ぐらするーつ、ミプロ) |
2011年 | まちぐるみ、地域ぐるみでフェアトレードを推進する「フェアトレードタウン運動」の国内での普及を目指す「フェアトレードタウン・ジャパン」が設立される |
2011年6月 | 熊本市が日本初、世界で1000番目のフェアトレードタウン(フェアトレードシティ)、となる |
2014年3月 | 東京、熊本でフェアトレードの大きな国際会議が開催される |
2015年9月 | 名古屋市が日本で2番目のフェアトレードタウンとなる |
2016年7月 | 逗子市が日本で3番目のフェアトレードタウンとなる |
2017年11月 | 浜松市が日本で4番目のフェアトレードタウンとなる |
2018年2月 | 2月1日に静岡文化芸術大学が日本初、アジア初のフェアトレード大学に認定される |
2019年9月 | 三重県いなべ市が日本で5番目のフェアトレードタウンとなる |
フェアトレードの原則10か条
WFTO(世界フェアトレード機関:World Fair Trade Organization)は、途上国の立場の弱い人びとの自立と生活環境の改善を目指す世界中の組織が1989年に結成した連合体です。欧米や日本の輸入団体とアジア、アフリカ、中南米の生産者団体が加盟し、情報を共有しながらともにフェアトレードの普及を目指しています。
WFTOはフェアトレード団体が活動の中で遵守すべきこととして10の原則を掲げており、パルシックもこのフェアトレードの原則10カ条に従って活動しています。
フェアトレードの10の指針
1. 生産者に仕事の機会を提供する
社会的に弱い立場に置かれた小規模の生産者が不安定な収入や貧困から脱し、
経済的に自立することを支援します。
2. 事業の透明性を保つ
経営や取引における透明性を保ちます。
すべての関係者に対し説明責任を果たし、参加型の意思決定を行います。
3. 公正な取引を実践する
バイヤーと生産者は、連帯と信頼、互いへの思いやりに基づき長期的な取引を行います。小規模生産者が社会的・経済的・環境的に健全な生活ができるよう配慮して取引し、利益を優先することはありません。また要望があれば、バイヤーは生産者に収穫や生産に先だって前払いを行います。
4. 生産者に公正な対価を支払う
生産者に対し、その活動地域の基準で社会的に受け入れられ、生産者自身が公正だと考える価格を支払います。公正な対価とは関係者全員の合意により決定されるものです。男女の同等の労働に対し平等な対価を支払います。
5. 児童労働および強制労働を排除する
生産過程での強制労働を許さず、国連の「子どもの権利条約」および子どもの雇用に関する国内法や地域法を順守します。生産に子どもが関わる場合はすべて公開・監視の上、子どもの健全な生活や安全、教育、遊びに悪影響を及ぼさないようにします。
6. 差別をせず、男女平等と結社の自由を守る
雇用や賃金、研修の機会などにおいて、人種や社会階級、国籍、宗教、障害、性別や政治的信条など、あらゆる面において一切の差別をしません。男女に平等の機会を提供し、特に女性の参加を推進します。また、結社の自由を尊重します。
7. 安全で健康的な労働条件を守る
生産者が安全で健康的な環境で働くことができるよう、現地の法律やILO(世界労働機関)で定められた条件を守ります。また、生産者団体における健康や安全性についての意識の向上を継続的に行います。
8. 生産者のキャパシティ・ビルディングを支援する
立場の弱い小規模な生産者にポジティブな変化をもたらすことができるよう努めます。生産者の技術や生産・管理能力などのキャパシティが向上し、市場へアクセスできるよう支援します。
9. フェアトレードを推進する
フェアトレードの目的や必要性をより多くの人に知ってもらえるよう啓発します。また、消費者に対して販売者や生産者、商品の背景にある情報を提供し、誠実なマーケティングを行います。
10. 環境に配慮する
生産地で持続的に採れるものなど、サステナブルに管理された素材を最大限に活用し、エネルギーの消費と二酸化炭素の排出が少ない生産を心がけます。農業ではできるだけオーガニックや減農薬など環境への負荷の低い方法を用います。梱包にはリサイクル素材や生分解可能な素材を用い、輸送にはできるだけ船便を使います。
参考(外部サイト)
・WFTOウェブページ『フェアトレードの10の指針』
・日本語訳引用:ピープル・ツリーウェブサイト
フェアトレード/エシカル/ソーシャルプロダクツを知る書籍・DVD
フェアトレードをもっと知るためにお勧めの参考文献、DVDをご紹介します。
★マークはパルマルシェ運営元のパルシックが取り上げられています。
書籍
書名 | 著者 | 出版元 [出版年] |
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★ フェアトレードビジネスモデルの新たな展開 SDGs時代に向けて | 長坂 寿久 編著 | 明石書店 [2018] |
フェアトレードタウン: “誰も置き去りにしない”公正と共生のまちづくり | 渡辺龍也 | 新評論 [2018] |
はじめてのエシカル――人、自然、未来にやさしい暮らしかた | 末吉里花 | 山川出版社 [2016] |
貧しい人々のマニフェスト―フェアトレードの思想 | フランツ・ヴァンデルホフ(著) 北野 収(訳) |
創成社 [2016] |
★ その商品は人を幸せにするか | 中間大維 | ファーストプレス [2015] |
裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける | 山口絵理子 | 講談社+α文庫 [2015] |
裸でも生きる ~25歳女性起業家の号泣戦記~ | 山口絵理子 | 講談社+α文庫 [2015] |
フェアトレードの人類学―ラオス南部ボーラヴェーン高原におけるコーヒー栽培農村の生活と協同組合 | 箕曲在弘 | めこん [2014] |
フェアトレードのおかしな真実: 僕は本当に良いビジネスを探す旅に出た | コナー・ウッドマン(著) 松本 裕(翻訳) |
英治出版 [2013] |
フェアトレードを学ぶ人のために | 佐藤 寛 | 世界思想社 [2011] |
フェアトレード学-私たちが創る新経済秩序 | 渡辺龍也 | 新評論 [2010] |
フェアトレード学―私たちが創る新経済秩序 | 渡辺龍也 | 新評論 [2010] |
★ 世界と日本のフェアトレード市場 | 長坂寿久 | 明石書店 [2009] |
フェアトレード―倫理的な消費が経済を変える | アレックス・ニコルズ/シャーロット・オパル(編著) 北澤 肯(訳) |
岩波書店 [2009] |
★ 日本のフェアトレード | 長坂寿久 | 明石書店 [2008] |
フェア・トレードを探しに | 三浦史子 | スリーエーネットワーク [2008] |
フェアトレードの冒険―草の根グローバリズムが世界を変える | ニコ・ローツェン/フランツ・ヴァン・デル・ホフ(著) 永田千奈(訳) |
日経BP社 [2007] |
季刊『at』(あっと)8号 | オルター・トレード・ジャパン/at編集室(編) | 太田出版 [2007] |
コーヒーとフェアトレード | 村田 武 | 筑摩書房 [2005] |
フェア・トレードとは何か | デイヴィッド・ランサム(著) 市橋秀夫(訳) |
青土社 [2004] |
フェアトレード―公正なる貿易を求めて | マイケル・バラット・ブラウン(著) 青山 薫/市橋秀夫(訳) |
新評論 [1998] |
映像
DVD名 | 制作・監修 | 制作年 |
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ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~ | アンドリュー・モーガン (監督) | 2016 |
★ もっと!フェアトレード―世界につながる私たちの暮らし | 特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)(制作) 渡辺龍也(監修) | 2014 |
おいしいコーヒーの真実 | マーク・フランシス (監督)、ニック・フランシス (監督) | 2008 |