気候の変化とコーヒー収穫への影響、今年の入荷状況について

ロバーツ

東ティモールのマウベシにあるコカマウ組合の生産者のコーヒー畑は、通常であれば6月下旬には真っ赤に熟したコーヒーチェリーが畑一面を彩る時期。しかし、今年7月に出張で訪れた私が目にしたのは、一面の緑。赤い実を探して畑を歩いても、緑色の実ばかりが目に入り、赤く熟した実を見つけると思わず写真を撮ってしまうほどでした。

マウベシでは今年、7月下旬まで曇り空や長雨など不安定な天候が続き、日照時間が極端に減少して、コーヒーの収穫時期が大幅に遅れています。通常より2か月ほど遅れ、8月に入ってようやく一部の畑で収穫が始まりました。9月1日時点で、組合に集まっているコーヒーのパーチメント(コーヒー豆の周りの薄茶色の内果皮が付いた状態のもの)は、今年の予測収量の1割にも満たない状況です。長引く雨は実の成熟を遅らせるばかりではなく、時には収穫前の実を落としてしまうこともあり、私たちは日々祈るような気持ちで、東ティモールのコーヒーチームからの集荷報告を確認しています。そして、コーヒーからの収入を待ちわびる生産者たちの心配はいかばかりか、と案じています。20年以上マウベシでコーヒー生産者とともに活動をしてきたスタッフも「こんなに収穫時期が遅れるのは初めて」といいます。

訪問した集落では、一本の枝にコーヒーの花、緑の実、そして赤く熟した実が同時に存在しているのを目にし、自然への畏怖を抱くと同時に、急激な気候の変化にコーヒーの木も戸惑っているのだろうと想像しました。

しかしながら、明るい兆しもあります。2019年から開始した「コーヒーの畑改善事業」も開始から5年が経ち、若返らせるために切った木や、新たに植えたコーヒー苗が育ち、手入れの行き届いた枝えだに元気な実がついています。「以前よりも実の付きがよくなった」と話すコーヒー生産者にも会いました。

今年のコーヒーの収穫が遅れていることで、生豆の入荷をお待ちのお客様には大変ご迷惑をおかけしております。

元より、昨年(2023年度収穫分)の在庫が少なく、その入荷の時点で、多くのお客様にご希望の数量をお届けできないことをご説明し、ご購入数量の調整をお願いする事態となっていました。現地からの報告では、9月に入りようやく乾燥したパーチメントの集荷が進みはじめており、10月中旬には船がディリ港を出港、12月初旬には日本での販売を開始できる見込みです。

また、昨年度の在庫不足の反省を活かし、今年から新たにエルメラ県にある生産者グループ「ウナエル」からもアラビカ種の生豆をフェアトレードで輸入し、販売を開始することとしました。初年度となり、有機認証を取得しておりません。実験的な輸入のため、こちらも数量はかなり限定的となりますが、来年以降は数量を増やせるように準備をすすめます。コカマウ組合のコーヒーとあわせて、今後ご案内します。

気候変動に左右される環境下ではありますが、引き続き生産者との関係を密にし、安定した供給を目指してまいります。
どうぞご理解とご協力をお願い申し上げます。

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